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ミスでの残業は認められるか

あなたは、自分のミスの穴埋めでも残業代の請求を行いますか?
会社員ですと、残業した場合は基本的に会社の就業規則に従って残業手当を付けると思います。しかし実際は会社によってはサービス残業をせざるを得ない状況にあるところもあるでしょう。そんな中、もし自分がしてしまったミスのために残業をしなければならなかったら、残業手当を請求してもよいのでしょうか。
例えば、屋内配線工事を仕事にしている人が、会社が作った手順書に従わず、早く作業を終えようと独自の手順で仕事を進めました。しかしその結果ミスが起き、予想に反して作業を早く終えることができず、手順通りに作業を進めた場合よりも時間がかかってしまい、法定時間外の勤務になってしまいました。この場合、通常通りに残業として扱われるでしょうか。それとも、残業にはならないのでしょうか。どちらも正しそうに思えますが、はたしてどちらの考えがより妥当なのか。この点が今回の焦点です。
今回の場合、本人に原因があることを重視すれば、残業にならないと判断できます。つまり、本人の過失や故意で残業になったのですから、本人の責任だというわけです。民法の価値判断を採用した立場となります。
しかし一方で、残業そのものに重点を置けば、残業になります。本人の過失や故意を考慮せずに、あくまで残業した事実のみで判断すれば、法定時間外の勤務になるわけです。これは、純粋に労働基準法で考える立場といったところです。
では、どちらの判断が妥当なのでしょうか。結論から言えば、どちらの判断も妥当と言えるでしょう。
当事者の事情、事実の認定によって、どちらの結論にも持ち込めます。ミスと言っても、どれくらいのミスなのかによります。軽度のミスから重度のミスまでいろいろありますので、この軽重によって判断は変わるでしょう。故意と言っても、非難されるほどの故意なのか。もしかしたら、時間内で終えられないないほどの仕事を課されていたために、時間外まで勤務することになったのか。自分の意思とは関係なく、天候が悪かったために残業になったという可能性もあるかもしれません。本人の原因で残業になったのかどうか、それとも会社側の原因で残業になったのか、物議を醸す点は少なくないと言えます。
このように、ミスで残業になったときに、その時間を残業として扱うかどうかは法律だけでは判断しにくいのです。当事者の置かれている状況や環境を勘案して判断することですから、「ミスで残業したら残業になる(ならない)」を客観的に決めてしまうことはできないのです。おそらく、企業側は「本人のミスなのだから残業にならないんじゃないか?」と思うでしょうし、社員側は「ミスしたのは自分だけど、時間外労働なのだから残業には違いない」と思うでしょう。
確かに、本人の原因にして残業にしないこともできますが、現在の情勢を考えると、良い選択ではないかもしれません。「ミスで残業というのは、めったに起こることではないから、残業にする」のも良い選択ではないかと思います。残業にするかどうかをもめるよりも、残業にしてしまったほうが時間的な負担は少ないという判断ができるでしょう。
残業にするかしないかで論争を起こすよりも、ミスが起こりにくいようにするにはどうしようかと考えるほうが建設的です。手順を守らなかったのが原因ならば、不便な手順になっているのかもしれないし、ちょっとした気持ちで手順を無視しただけかもしれない。こう考えるほうが解決策はたくさん生まれるでしょう。割増賃金を払うかどうかという一点だけで考えを巡らすよりも、得るものは多いかもしれないというわけです。

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